前回に引き続き、東海道の蒲原宿に残る旧五十嵐歯科医院の二階を見ていきます。
二階は診察室もあり、一階とはまた違った雰囲気が楽しめました。
客間

階段を上がって二階の客間へ。
廊下…というより広縁のような板張りの空間。写真では伝わりにくいですが、古いガラスらしい歪みがありました。

この解説によると、敷地内にゲストハウスがあったみたいです。
患者さんを泊めるための建物も用意していたとはすごい時代です…2022年に取り壊されたとのことで、もっと早く来たかったと思ってしまいました。

前回見てきた庭が見えます。ゲストハウスは蔵の奥にあったようですね。

客間から庭の方を見ています。欄間がすごいですね…!
特別な患者さんのための待合室としても使われていたというのも納得。

東海道の方面を向いています。欄間は富士山と三保の松原の風景をかたどったものとされているようです。
襖絵は美しい花に鳥にと、まさに花鳥風月といった趣。

隣の部屋から庭の方面。こちら側の襖に描かれた松葉もたいへん力強い。
欄間の松の木とかどうやって彫ったのやら。。

日の光がよく差し込む東海道沿いの窓です。奥には洋風な診察室が見えますが、そちらは後ほど。

床の間にある田中光顕翁の像。
宮内大臣や警視総監を務め、蒲原にあるアルミニウム工場の設立にも関わった人物で、この客間を利用した患者の一人だったそうです。
一般待合室

お隣の部屋も座敷となっています。こちらは一般の人が使っていた待合室です。
襖が無く(当時はあったらしい)、奥の診察室との仕切りもガラス戸なので解放感があります。

さきほどの客間と比べたら簡素ですが、それでも床の間はあります。
当時から碁盤や将棋盤は備わっていたようです。待ち時間をつぶすためのものでしょうね~

畳敷きの部屋の外は板張りのスペースがあります。
立派なひな壇が飾ってあってとてもいい感じ。
奥にある階段は玄関に入ってすぐのところにあったもので、一般の患者さんはこちらを使って待合室へ向かっていたものと思われます。

比較的最近のものと思われる本が入った本棚の上にはかなり歴史がありそうなものが。
何かの記念品でしょうか?勧業貯金…?
診察室

二階の南側にある大きな部屋が診察室です。
ほとんどが壁ではなく窓になっていて非常に解放感があり、温かみも感じられました。
ここまで見てきた純和風な部屋とは違い、床はリノリウム張り、天井と壁は漆喰塗りというかなり洋風なスタイル。
外観に洋を感じ、中に入って和を感じ、ここに来てまた洋風になるという楽しさがあります。

この隣は技工室という部屋のようです。小さなカウンターがついているのがかわいい。
当時使われていた診察台も展示されています。

診察台は現代の歯科医で見る物に通じるところがありますね~基本形は変わっていないというか、先生に診てもらっている風景が想像しやすいです。

当時、診察代は二台あったようなのでこちらの椅子とテーブルはどこかから持ってきたものでしょう。
奥には客間への出入り口。特別な患者さんはこちらから来ていたのだろうなあ。

昭和26年の報酬規定。初診料50円、永久歯の抜歯が150円以上など。
歯列矯正がこの時代にもあったことが驚きです。

お隣の技工室へ。こちらの床は板張りですね。
この歯科医院で使われていたさまざまな物が展示されています。
机や棚も風格がありますね。

引き出しにずらりと並んだ器具の数々。現代の歯医者でも見るようなものもありますね。
机の上には看板や表札、何に使っていたのかわからないものまでところ狭しと展示品があります。

部屋の隅には洗面所があります。ここだけタイル張りですね。

二階も充分に堪能したので、玄関へ向かう階段を下りていきます。
この後、前回取り上げた洋室を見てから帰路についたのでした。
これほどの擬洋風建築を、無料で見られるのが本当にありがたかったです…!案内してくれる方も常駐しているのに!
宿場町らしい建物も残る蒲原宿と併せておすすめしたいですね~