新潟市中央区、昭和大橋のたもとには新潟県政記念館があります。
この建物は明治時代に建てられた県会議事堂なのですが、耐震改修工事のために令和4年12月から令和10年の3月末(!)まで閉館となっています。
それが今年の10月1日に特別に公開されるということで見てきました。
訪問:2023年10月
新潟県政記念館 正面
昭和大橋の北詰め、新潟市役所がある方面に大きな洋館のような建物があります。
ここが県政記念館、新潟県議会旧議事堂(重要文化財)です。
この時代の県会議事堂が現地に現存するのは国内でここだけだそうです。
真正面から見るとそれは立派で…
1883(明治16)年3月に完成したというので、今年で140周年!
これぞ洋風建築といったシンメトリーな外観は、当時の人の目にはどう映ったのでしょう。
入り口は向かって左側にありました。
基礎部分のレンガと石材、建物と窓の隅に配された石材がとてもおしゃれ。
設計・監督は現在の西蒲区出身の星野総四郎というお方。
新橋駅舎の建設にも従事していたとか。
新潟県政記念館 1階
中に入って受付(かつて傍聴受付だった部屋)の前を過ぎると、そこは傍聴人控室。
この時代の政治に詳しくないのですが、議会を見に来る人はそれなりに身分がある人々だったのでしょうか。
別の扉から控室から出て廊下を進むと、突き当りが議場。
その手前に応接室、書記室、守衛室が並びます。
今回は修理直前公開ということで部屋の中は空っぽですが、普段は展示品があるようですね。
書記室と守衛室には壁際に暖炉があったようです。同じ煙突を共有しているのでしょう。
(写っていませんが、先ほどの傍聴人控室にもありました)
なぜ埋まっているのかと思っていましたが、この後の見学ツアーで理由を聞くことができました。
どうやら文化財を復原するためには建設当時の姿にする必要があるのですが、この暖炉が元はどのような形だったのかわからないので、それができないということでした。
この部屋での見どころは天井の中央にある装飾ですね。
こちらは松と帆掛け舟だそうです。
同様の装飾は他の部屋にも。こちらは書記室の梅。
暖炉に飾りと、この二つの部屋は重視されていたのかもしれません。
あと一つ。傍聴受付の部屋にある猿と栗の木。
こちらの部屋は現在、管理室として使われています。
新潟県政記念館 2階
議場は後に回して、二階へ上がってみます。
木製の手すりや窓枠だけでノスタルジーを感じてしまいます。
議場と反対方向に進んでみます。
知事室や参与室など、お偉方が使うような部屋も。
突き当りの一番大きな部屋は議員控室。
議員たちはここから一階の議場へ行き、反対に傍聴人は一階の控室から議場二階の傍聴席に向かっていたのでしょうか。
右扉の奥にあるのが議場の部屋。
左の扉は議長室につながっています。
二階の中央にはベランダがあるので、外へ出てみました。
扉もいい造りですね~
ベランダからの眺め。前の道路を右に進むと信濃川と昭和大橋があります。
ここができた当初は、この道路は水が流れる堀で、橋が架かっていたようです。
瓦屋根に擬宝珠。洋風な建物なのに和風のエッセンスが組み合わさっているのが良い。
議場
ようやくこの建物の主たる部屋である議場にやってきました。
2階の傍聴席は吹き抜けになっています。
ちょうど尺八と箏のコンサートが行われていました。
手すりはけっこう低め。柱の装飾もおしゃれ~
コンサートが終わった後に一階へ行ってみました。
広い空間です。明治時代の当時はもっと異質な空間に見えたでしょうね。
本来なら議場を再現して椅子や机が並んでいるようですが、今回は全て引き払われているのでとても広く感じる。
明治時代の新潟県政の場がこうやって保たれているのってすごいことですよね。
最上階・塔屋
コンサートの後は建物解説ツアーがありました。もちろん参加。
解説を受けながら一階から上ってきて、最後に最上階の塔屋へ上ることもできました。
階段にある橋から急な階段を上って三階へ…
三階は塔屋とそこまで行く通路のみで、小ぢんまりとしていました。
通路からは屋根裏のトラス構造も見せてもらうことができました。
貴重だなあ。。下の広い空間はこの構造があってからこそなんですね。
通路を進むと塔屋の真下の部屋。ちょうどベランダの真上ですね。
床にこれまでの改修などで出てきた(交換した?)建物の一部が並んでいました。
反対側のトラス構造も公開されていました。
ここに手を加えられたのは大正、昭和、平成にそれぞれあった改修や復元工事くらいでしょうか?歴史を感じます。
そしてお目当ての塔屋。さすがに上ることはできませんでしたが、見られただけでもありがたい。。
ここは八角塔屋ですが、下からでもその形をよく見ることができました。
これで見学ツアーも終了です。
裏手
最後に建物の裏手へ。
こちらには短いですがいかにも古そうな塀が立っています。
中にレンガも埋め込まれていたようですね。
この塀ですが、かつて県政記念館のすぐ裏手まで信濃川が流れていた頃、その岸壁に立っていた塀の一部らしいということでした。
それほど歴史のあるものならば、この先も残ってほしいですね。
裏手から見た県政記念館。左端が議場です。
八角塔屋も、手前にある暖炉の煙突もよく見ることができます。
公園や音楽ホールが集まる閑静なエリアですが、この建物も良く似合っています。
修理直前公開、じっくり堪能することができました。
前々からよく見ていた建物ですが、建築物に興味をもつようになってからその価値がわかるようになりました。
修理が終わったらたくさんの人に訪れてほしいものですね。