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酒造創業者の大邸宅・松籟閣@長岡市(越路) その1(下座敷、小座敷、応接室)

新潟県長岡市の旧越路町に、朝日酒造という大きな酒蔵があります。久保田朝日山が有名な商品でしょうか。
その本社屋のすぐそばに、創業者が建てた見事なお屋敷があります。

訪問:2023年11月

松籟閣の入り口

本社屋のすぐ横に、立派な構えのお屋敷があります。
こちらが松籟閣の入り口です。
松籟閣は朝日酒造の創業者、平澤與之助が建てた住宅で、完成は1934年。
もとは少し本社屋側(左のほう)にあったようですが、2001年に曳家で移築、その後2018年に重要文化財になりました。
基本的に4月から11月の月水金土しか開いていないようなので、見学の際には注意ですね。

中に入るとさっそくおもしろい光景が見えてきました。
正面の入り口があるのは和風ですが、その横に洋風のお部屋が付いています。
これは期待…!

来場者用の玄関で靴を脱いで中へ。
まずは左側から見ていきます。
この建物の廊下は全て欅の一枚板が使われているようです。
しかも節を隠すために別の木材を組み込むという手の凝りよう…!

下座敷

こちらは下座敷。子供部屋だったようです。

床の間にある地袋はきれいに湾曲していて、珍しいものですね~
こんな小さなところでも綺麗な絵です。

上から、霞、千鳥、波のモチーフが配されている欄間。
千鳥が特にかわいいですね…笑

あとは、入り口の戸も曲線が使われていました。
子供部屋ならではの柔らかさなのでしょうか。

小座敷

次に、入り口のすぐ右手側にある小座敷へ。
こちらはお客さんの応対に使われていたみたいです。
このような部屋でも手を抜かない、細かすぎる障子組子です…!

それぞれの戸ごとにデザインが違って、目が忙しいくらい。
柱にはタクシーの電話番号シールが貼ってあり、実際に使われていたんだなと感じることができます。

すり硝子に組子

床の間の柱はクヌギが皮付きのまま使われています。
地袋も繊細…!四畳半の部屋の中に美しさが凝縮されていました。

田豊四郎 作

小座敷から出て右に進むと正面入り口側にある、独特な形の窓。
花頭窓というらしい。廊下になんともなしにある窓でも細やかなこだわりが伝わってくるようです。

応接室

小座敷から出て右手、最初から気になっていた応接室のほうへ向かいます。
廊下の窓すらも凝っていて、これぞ近代和風建築ですね。

ここが応接室の入り口。欄間(と言っていいものか…)もこれまでの和室とは違う雰囲気です。

これが松籟閣の応接室です。
どうでしょう、この色々と目が行ってしまう芸の細かさ!
先ほどまでと同じ建物とは思えない空間が広がっています。

洋風なランプに、天井の飾り

この部屋で最も目を引くのはやはり暖炉と両脇にあるステンドグラスでしょう。
暖炉と上にある絵を中心にシンメトリーです。
この建物のほとんどは地元工務店により設計されましたが、この部屋と奥にある洋風寝室については清水組大友弘という人が設計にあたったということです。
清水組は現在の清水建設で、大友は以前このブログでも取り上げた新津記念館などを設計した方です。ここにつながりがあるとはなあ。

ちなみに、こちらの暖炉の下部にはコンセントがあります。
薪をくべる暖炉ではなく、電気式だったようですね…笑

良い部屋がたくさんあったので、次回へ続く……