実は新潟県は石油や天然ガスなどの採掘が盛んな土地でして、それで財を成した方もいました。
今回はそのうちの一人が新潟市に建てた、使われることのなかった迎賓館を見てきました。
訪問:2022年9月
砂丘の上の迎賓館
新潟市中央区、新潟大学附属病院が建つ丘の上に、新津記念館は建っています。
お城のような門と塀の奥に、大変立派な建物が見えていますね。
門をくぐると全貌が見えてきました。
タイル張りでこれぞ近代建築と言った外観。
竣工は1938年で、地上三階・地下一階の鉄筋コンクリート造の建物です。
建設したのは新津恒吉という人物で、石油の採掘が盛んだった現在の出雲崎町に生まれ、石油の精製と販売によって財産を築きました。
彼が興した新津石油という会社は、後に他2社と合併して昭和石油となりました(のちに昭和シェル石油→出光)
あと、この方がすごいのは、この新津記念館だけではなく、私財を投じて新潟市公会堂を建てたことですね。
ちなみに公会堂は現存せず、今は市の芸術文化会館(りゅーとぴあ)が建っています。
入り口のアーチやレリーフが良いですね。
新潟県で初めて登録された登録有形文化財(建造物)だというのもわかります。
アーチを支える石柱。
元々あった自宅の敷地に建造したからでしょうが、後ろにある和風の門とのギャップを感じる。
入場料は800円でしたが、中の写真撮影はできませんでした。
それぞれ様式の異なる一階、二階の部屋や、ホールにあるステンドグラスがそれはもう見事だったので、是非とも実際に見に来てほしいなと思いました。
内装をじっくり見た後にお庭へ出ました。
こちらからの眺めも素晴らしい。
中で係の方から解説を聞きましたが、この建物は外国の人を迎え入れる迎賓館として建設をしましたが、戦争が始まってしまったことで遂にその用途で使われることは無かったようです。
戦後は10年間GHQに接収され、その後1992年に新津記念館としてオープンしました。
すぐお隣には1928年に建てられた新津恒吉の自宅。
大変立派ですが、こちらは公開されていないようです。
奥には新の字が入った蔵。
これが石油王の自宅。
恒吉翁のご子息(養子)、義雄氏の表札が掲げられています。
この方は新潟で様々な事業を展開する、丸新グループを興しました(新津記念館もこのグループが管理しています)
最後に住宅の入り口から続く階段を。
ここは小高い丘のふちに立地しているので、町の様子をよく見ることができます。
敷地内で高低差を感じられるのが良いですね。
大豪邸です。